精力と抜け毛
子供が欲しいなら抜け毛を忘れるのが得策
女性のヘアではなく男のヘア、つまり頭の毛の話。男性にとって、とかく髪の毛は気になるものだ。不景気の世でも男性用かカツラや増毛のCMは一向に廃れる気配がない。
ここ数年、テレビCMでも見かけるようになった「AGA(エージーエー)/AndrogeneicAlopecia/男性型脱毛症」。
現在AGAに対して治療効果が認められた薬剤はふたつ。
そのひとつ、「ミノキシジル」を主成分とする育毛剤は薬局などの店頭で購入できるので、すでに試した人も多いのではないだろうか。こちらは男性ホルモンとは関係がない。
「育毛剤」が男性ホルモンと密接な関係
全国で1200万人以上の人がAGAだといわれている。この治療薬、いわゆる「育毛剤」が男性ホルモンと密接な関係がある。男性ホルモンと関係が深いのは、病院で処方される「フィナステリド」を主成分とする治療薬だ。
このフィナステリドには、実は男性ホルモンの作用を抑える働きがあり、抜け毛といっしょに男性ホルモンの働きもブロックされてしまう。
子供を望む人は要注意。
髪の毛が生えて抜けるメカニズムに、男性ホルモンがかかわっているのをご存じだろうか?実は髪の毛根に男性ホルモンが働くことによって、毛は抜けていく。
そのプロセスはこうだ。
髪の毛が抜けると、頭皮にある毛母が毛細血管から栄養を受け、新しい髪の毛が徐々に成長を始める
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成長期には、髪は次第に太く長く伸びていく。
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やがて頭皮の下にある毛球の退縮が始まり、毛球が大家して休止期に入り、その後脱毛する。
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そしてまた新しい髪が成長を始める。
このようなヘアサイクルが存在する。ところが、毛母の毛乳頭という部分が萎縮すると「髪が太く、長くなる」というサイクルがバイパスされて、髪の成長サイクルが短くなってしまう。すると髪の毛が十分に成長しないため、髪は細く、短くなり、抜けるのも早くなる。
その状態が続いて薄毛、抜け毛が進むとAGAと診断されるのだ。
このとき毛母細胞の寿命を短くして、ヘアサイクルの成長期を短縮してしまうのが、「ジヒドロテストテロン(DHT)」という物質。
この物質は、男性ホルモンであるテストステロン(T)が5a-リダクターゼという還元酵素の働きによって変換されたものだ。
そこで、テストステロンと5a-リダクターゼが結合しないように、レセプター(受容体)をブロックするのがフィナステリドだ。つまり、フィナステリドを服用すると、体内にテストステロンはあるものの、その働きが抑えられてしまうということになる。
性欲減退や射精障害、EDや精子数の減少等の副作用が・・。
頭皮では抜け毛を抑えるように働くフィナステリドだが、その一方で生殖に関しては副作用がある。代表的なものが、性欲減退や射精障害、ED、精子数の減少などだ。
また、ペニスの海綿体の細胞が萎縮して、ED(勃起不全)になる人もいる。
さらに、精子の製造・保管場所である精巣にも影響を及ぼす。
副作用がおこるのは、1・5~2.9%といわれており、実際に起こるかどうかは、使ってみないとわからない。けれど、子供が欲しいのなら、リスクがあることをあえてする必要はない。ひとまずヘア(髪)は諦めるのが無難だ。
ちなみに、もともとこのフィナステリドは、前立腺肥大症の治療薬として開発されたもの(日本では前立腺肥大症の治療薬としては未承認)。
だから、男性ホルモンに深いつながりがあるのは当然なのだ。